後は本人の体力しだいです

会社のパソコンの調子が悪かった
黒い可愛いthinkpad


突然目の前が真っ暗になって
何も感じなくなるのだ
私が汚い手でディスプレイを触るから精神的に限界だったのかもしれない


一度強制的に眠らせてしまえばまた
何事もなかったように光を映すが
これは病気に違いなかろうと手術を決心させた


不器用そうな技師が言うには モニタと本体をつなぐ神経系の衰弱の線が強いそうだ


不器用な手つきで乱暴に可愛いthinkpadたんがはがれいく姿を横目で見ていた


キーボードがはずされ
その下の薄い皮がはがされていく
しだいに金や緑の内臓が露わになった


美しい


手術中だと言うのに
不覚にも見とれてしまった
その整った中身
ぎっしりと詰まった規則的なかけらたち

パソコンの中身と言えば 目を背けたくなるほどぐちゃりとグロテスクで
得体の知れない管が入り乱れ
ホコリが巣くう吐き気を催すビジュアル


そう 思っていた


なのにあまりにも美しい
thinkpadのそれは
私の心を奪ってやまなかった


こうして私のノートパソコンへの愛情は募るばかりなのである