4

「……少し、構いすぎたようだな……私としたことが……
 ……もう、戻るか、マルセル。
 ……マルセル?」


「…………」


「…………眠ったのか。」


マルセルは、クラヴィスに寄りかかるようにして静かな寝息を立てていた。
黒いローブをぎゅっと握ったまま。
まるで今よりもずっと、子供のように。
父親の腕の中で、安心しきって眠る、幼い子供のように。


ラヴィスは、その安らかな金の髪をもう一度ゆっくりと撫でると、
そうっとマルセルの身体を抱き上げ、私邸に向かった。



懐かしい、金の髪。
しまいきれない想いと、悲しみを秘めた色。


重く溢れる、金の髪。
弱さ、寂しさを隠した、孤独な輝き。


軽やかな、金の髪。
甘く優しくふわりと弾む、天使のような明るい光。


そして


まだ開き始めたばかりの、タンポポのつぼみのような、金の髪。


Fin.