2004-09-16から1日間の記事一覧

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「……少し、構いすぎたようだな……私としたことが…… ……もう、戻るか、マルセル。 ……マルセル?」 「…………」 「…………眠ったのか。」 マルセルは、クラヴィスに寄りかかるようにして静かな寝息を立てていた。 黒いローブをぎゅっと握ったまま。 まるで今よりもずっ…

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クラヴィスは無言で立ち上がり、私邸の方向へ一歩踏み出した。 「クラヴィス様……もう帰ってしまうのですか?」 「ここに長居する理由はない……」 「でも……」 「マルセル……」 クラヴィスは、マルセルに背を向けたまま、静かに言葉を続けた。 「お前はいづれ………

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「アンジェ……」 「……とーさん?」 「え?」 「あっ」 振り向いたその顔。 白い頬、小さな薔薇色のくちびる、そして……すみれ色の瞳。 「……ま、マルセル……お前か。」 「わっ、ク、クラヴィス様!」 そうだ、確かに似ていた。 いつも髪を束ねているせいか気づか…

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金の髪の…… 聖地の夜はすっかり更けて、深い闇が辺りを包んでいた。 昼間は賑やかな公園も、森の泉も眠りについて。 静かに、静かに時を刻んでいた。 そこに、闇に紛れそうな黒い人影。 それは木の影かと見まごうような、細く、高い影。 月影に照らされて、…

いくぜ前書き注意書き

無謀にも、今回はアンジェリークの小説を。 クラヴィスとマルセルの話を書いてみた。 なんとなくこのコンビが気に入っている。 でかいのとちっこいので父子っぽいからかもしれない。 よく見たら、以前のピサロ+勇者の小説と似通ってしまった。 夜空、でかい…