2004-08-10から1日間の記事一覧

第エピローグ

> それはある夏の日。 砂漠の街サラボナで、盛大な結婚式が行われたという。 新婦はサラボナに住む大富豪の娘、新郎は旅の若者。 新婦は天女かと見まごう程に美しく、清らかな心を持つ娘。 新郎は勇敢で、恐ろしい魔物でさえも従える澄んだ瞳を持つ若者。 若…

第9話

> 多くの思いが交錯する中、サラボナの夜が明けた。 人々の思いとは裏腹に、あまりにも明るい晴天だった。 ビアンカは朝早く呼ばれ、ルドマン邸の応接室に通された。 そこには既にフローラとルドマンがいた。 フローラは緊張した面持ちで、きつく手を組み、…

第8話

> 街の賑やかさに負けないくらい、空には星々がまたたいていた。 ビアンカは夜の街に出ていた。 部屋の中にいるだけでは、気が滅入ってしまいそうだった。 街のいたるところで、明日の花嫁選びの噂が飛び交っている。 あの人も、この噂を耳にしないわけがあ…

第7話

> 「さっきの騒ぎはなんだったのだ。」 「僕にもよくわかりません。 ビアンカが、フローラに用があったみたいなんですけど・・・」 ルドマン邸では二人の男が会話していた。 何日も前からこの二人は日に何時間も話をしている。 長話をしなければならないのは…

第6話

> ビアンカは珍しく、再度アンディの家に向かっていた。 一度宿に戻り、買い物などを済ませてから気づいたのである。 どうやら薬草をひとつ忘れてきてしまったらしい。 おそらくポケットに入っていたものが落ちたのだろう。 薬草ひとつくらいは失くしても構…

第5話

> ビアンカはいつの間にか、アンディにスープを届けるのが日課になっていた。 ただとめどなく他愛のない話をし、時には歌い。 お互いの寂しさを紛らわせるように、ただただ時間だけを過ごしていた。 それでも、いつしかアンディに会いに行くのが楽しみになっ…

第4話

> 甘美な夜を鋭い朝の光が破り、砂漠の夜は明ける。 昇り始めた太陽が砂に映り、白い光をきらきらと撒き散らす。 サラボナでは目覚めた人々が、一人一人のざわめきを賑わいに変えていく。 いつもより少し早く起きたビアンカは、宿屋の部屋で朝食の準備をして…

第3話

> 「ビアンカ、ねえビアンカ!」 何度か名前を呼ばれ、ビアンカは我に返った。 「なあに、トンヌラ?」 ここは宿屋の近くのPUB。 今朝の約束どおり、トンヌラのおごりで、いつもよりちょっぴりリッチなディナー。 安い酒でも飲みながら、おなかいっぱい楽し…

第2話

> もう何時間と、サラボナの街をふらついていたのだろうか。 ビアンカは、ただあてもなく、 武器屋でウィンドウショッピングをしたり、 砂漠の中にそびえ立つ、高い塔を眺めていたりした。 ルドマン邸にだけは、なんとはなしに近寄りがたく、避けていた。 や…

第1話

> 軽い食事と身支度を済ませ、 ビアンカは街に出ていた。 トンヌラは一足先に宿を出たようであった。 街のどこにいてもルドマン邸が、その姿を誇らしく主張している。 すでに水のリングは手に入れた。 トンヌラとフローラ嬢はおそらく、結婚に向けて話を進め…

プロローグ

> 魔物使いにとってのモンスターは、手足。 彼はズルなんてしていない。 彼は自分の手足を、道具を、使っただけ。 ビアンカは、こんな言い訳をしていた夢を見た。 目覚めてわれに返れば、サラボナの宿屋のベッドの上だった。 (なんて後味の悪い目覚めだろう…

レッツまえがき注意書き

最近、ヘンなカップルにはまってしまった。 その名もビアンカ×アンディ。 某巨大掲示板やどっかのDQ大辞典を眺めていたら、 なんとなく面白いネタがあったからだ。 主人公にフローラ奥様の場合、一人になっちゃう二人。 結構うまくいくんじゃないか? ってな…